今朝、NHKのバラエティ『チコちゃんに叱られる』で紹介されていたが、中華料理店ではおなじみの回転テーブルは、実は日本で開発されたものらしい。
日本でのチップを払わないという傾向に対して、従業員の稼働コストを減らすため、料理の取り分けを客自体にやらせようという魂胆(?)らしいのだが、一つふと思い出したのが、先日の記事で紹介した映画『イップ・マン』。
実はこの映画でも実に印象的なシーンで回転テーブルが出てくる。新作の『イップ・マン 完結』では、アメリカのチャイナタウンでの一シーンで。
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また第二作『イップ・マン 葉問』では、ちょっとタイプは違うテーブルではあるが、『燃えよデブゴン』ことサモ・ハン・キン・ポーと主演のドニー・イェンの、息詰まる対決がテーブルの上で展開される。
非常に緊迫したシーンで使用されるこのテーブルだが、その『チコちゃん~』の話からすると、このテーブルというのは、ある種象徴的な使われ方をしているようでもある。
その番組で紹介された情報からすると、一説として最古のものは、目黒の雅叙園に現存する、昭和7年に作られたものだという。
その他にも諸説あるが、時代的に考えるとその頃から日本が発祥になった、あるいは広まったと考えるのが妥当だろう。
『イップ・マン 葉問』の時代背景が1950年頃、『イップ・マン 完結』ではブルース・リーの成年期以降のエピソードと考えると1960~70年頃にあたる。
時期としては回転テーブル登場と考える1930年頃から大分後になるが、日本文化の一つとして生まれたものが、そう中国に息づいているわけである。
一方で、両シーンともこのテーブルはイップ・マン自身、そして詠春拳一派と、香港の武闘家との対立の間に位置する格好で登場する。
武道を中国人以外に教えてはならないという傾向があった香港、中国系移民の保守的な武道家、一方アメリカに渡ったブルース・リーをはじめ、広く間口を開くべきと考えたイップ・マンとその弟子たち。
その意味では、例えば現在顕著に見られるアメリカと中国との対立関係に対して、日本という国は傍観者ではいられないということを象徴しているようでもある。
そう考えると、日本という国は他の国からどう見られているのか?単に日本という国自体を見られているのではなく、日本というフィルターを通して、他の国はさらにほかの国を見ている、そのフィルターはどのように見られているのか?とさまざまな印象が浮かび上がってくる。
単にアクションとしても非常に見ごたえがある作品だが、そんな風に様々な点に気づけるのも、映画の魅力の一つだ。こうした意味では、この作品は時代に即したテーマを取り扱った作品であるといえるだろう。
なお、『イップ・マン 完結』は現在オンラインでの試写会が配給より企画されているようだ。締め切りは明日だが、よろしければ是非皆さんにもご覧になっていただきたい。
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