(C)2018 Disney Enterprises, Inc.
映画を見ながら、ずっと泣いていた。
ああ、そんなときもあったなと、そんなはずはなかったのに思えていた。
『くまのプーさん』は、小さなころに絵本で見た記憶がある。はちみつが大好きでのんびり屋の小さなクマ。クリストファー・ロビンと大の仲良しで、今日も楽しい事件で美しい思い出を築く、そんな話だったか。
ただはっきりしていたのは、みんなが親友だったこと。誰かがヘマをやらかしても何とかしてやれと、みんなが困った顔をしながらも手を差し伸べてくれたこと。
小さなころから近所の子らにいじめられていた自分には、そんな経験はなかったはずなのに、『くまのプーさん』からそんな体験をしていたのだろうか、と。
そしていつの間にか、大人のクリストファー・ロビンのように、昔を忘れていた。
プーは彼に言った。「わかった。もう友達をやめてもいいよ」って。
クリストファーが戻ってきた思い出の「100エーカーの庭」は、かつての陽気を失っていた。
その様子を見て、思った。もう人には寄り添えない。自分は人に寄り添えないのだと。誰かに寄り添てもあげられないのだから、寄り添ってももらえるはずがない。
ただつまらん人生を歩んできたのだ、と悲しくてしょうがない。
人生を振り返れば、実は大切な友人はあいつだったんだ、とかふと記憶がよみがえる。
もう彼らは今どうしているか?生きているかどうかもわからない。
会いたい。会ってあの時自分に寄り添ってくれたお礼と、寄り添ってやれなかった詫びをしたい。
クリストファー・ロビンには、いつまでもプーがそばにいたが、そういった存在はもう自分には届かない。
時代のせいだとか、いい大人がいい齢をしてとか、言われることはいくらでもあるだろうが、ただ辛くなってしまった、それだけだった。
0コメント